第11回全日本高等学校ゼロハンカー大会・前編

さとC

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参戦のきっかけ

高校時代はバイクに乗る為&クルマ購入資金を貯める為に3年間バイトに明け暮れていたので、部活に入ってはいましたが、幽霊部員の状態。

その部活も理解ある心優しい担任の先生が就職の時に書けるから名前だけでも置いとけと紹介してくれた「機械研究同好会」

その「機械研究同好会」の活動の中に「ゼロハンカーの製作」というものがありました。

毎年12月に開催されるレースに、50ccのエンジンを自作のフレームに載せたバギーで参加をするというものでした。

一年の時も二年の時も部活に全く顔を出さない僕に、先生がその大会の時は顔出せよ~と声をかけてくれていました。

が、結局一度もその大会には行かずバイトに明け暮れていました。

三年になったある日、課題研究という形で色々なテーマの中から選択して授業を決めることになりました。

その中に「ゼロハンカーの製作」がありました。

一年の時も二年の時も誘ってもらっておきながらフル無視していたのも申し訳なく思い、参加することにしました。

製作開始

やると決めたからには勝ちたいので、製作には全力を尽くしました。

とはいえ、ノウハウも全く何もないので、まずは既存のゼロハンカーをよく見てみることにしました。

奥が1号、手前が2号

岡工1号と岡工2号の二台が過去作品として作業場に置いてありました。

二台ともカブエンジンで、1号はカスタムのエンジンなので4速で2号よりは速いけど遅い。2号はスタンダードカブエンジンでめちゃくちゃ遅い。ヤバいくらい遅い。

もちろん過去の大会優勝経験もありません。

二台の問題点をざっと洗い出してみました。

  • 車体(フレーム)に無駄が多く重い
  • エンジンがシンプルにパワー無い
  • キャブセッティングが合ってない

まずはこの問題解決をテーマに製作開始しました。

フレーム製作

課題研究は12名程のチームで製作するので、各パート毎に班で分かれて製作することにしました。

フレームの設計図は僕がレギュレーションの紙とにらめっこしながら、嫌いな英語の授業中に完成させました。

その設計図を元にフレーム班に製作してもらいます。

エンジン製作

エンジンはまず本体をゲットするところから始まりました。

予算の乏しい県立高校なので、最初は1号か2号のカブエンジンを再利用して作れみたいなことを言ってきてましたが、

それでは勝てない、速いエンジンが必要

ということを熱く熱く熱くプレゼンした結果

結果3万円だけ予算がおり、僕がヤフオクで手配することになりました。

4ストの50ccで一番パワーがあるエンジンはCB50のエンジンですが、タマ数が無い上に6Vです。電装系も揃わない可能性も考えてAPE50のエンジンにしました。

ゲットしたエンジンは僕がバイクでお世話になっているショップ、「IMC BIKE」に持ち込み全バラすることにしました。

レースエンジン製作の経験もあるオーナーの指導の元、全バラし、ミッションのギア一枚一枚に至るまで徹底的にバフ掛けし、フリクションロスを低減。ヘッド面研、ポート加工等行いました。

とは言え、予算の無い貧乏チューンなので、地味系のチューニングで攻めます。

ビッグキャブ化も考えましたが、高くて買えません。

そこで実習室に転がってたAF27ディオの2スト用キャブがいくぶん大きいとなり流用することになりました。

ディオ純正のエアクリBOXが泣かせます。

穴空けも加工しました。

ハーネスは買えないので、自作です。

ここで問題が。CDIがありません。

予算もありません。

困り果てているとIMCのオーナーが「これ使えるんじゃね??」と言って出してくれたのが、ホンダのJOKER 50のCDIでした。

試しに付けてみると動きました。とりあえずラッキーでした。

そうして完成したエンジンにIMCからの協賛品ということで、レーシングオイルを奢ってもらいました。

感謝です。

エンジン搭載

車体も紆余曲折経て苦労の末完成し、いよいよエンジン搭載です。

めちゃくちゃ速いです。

こうして岡山工業初の5速ミッション車&3ペダル車両が完成したのでした。

これなら勝てそう!と一度も大会見に行ったことないくせに謎の自信が沸く程速かったです。

完成したのが大会間近でとにかくテスト走行がしたかったので、教頭にも許可を取ってグラウンドで一日走り込みをしました。

教頭も

「音がうるさいと近所からクレーム来てるけど、授業でやってることだからそれはこっちで対応しとくから思う存分やってください」

と言ってくれて理解のある先生でした。

グラウンドで走り込みをすると徐々に問題点が洗い出されていきました。振動で固定が外れてブレーキホースがドラシャに絡まって千切れたり、マフラーの熱でシートが溶けたり…色々ありました。

めっちゃ怒られた件

走行テスト翌日、昼休みにのんびりしていると、校内放送でお呼び出し。

昨日グラウンドでバギーで走り回ってたやつ体育教官室に来い

とのことです。

人生で初めてコントロールタワーに呼び出されました。

また反省文かぁ~と思いながらコントロールタワーに向かいました。

実際に書いていた反省文。写真ではA4サイズですが、反省文ver2ではA3両面印刷の意味不明な仕様に。

体育教官A「グラウンド誰に許可取って走っとるんや?」

僕「教頭ッス」

体育教官B「荒らしたグラウンドその後どうするつもりやったんや?」

僕「教頭がブラシ付いた車あるじゃないっすか?あれで直すって言ってましたよ」

体育教官C「わしら部活でも使っとるんじゃ。キミ自分の部屋荒らされたらどう思う?迷惑考えたことあるんか?」

僕「教頭に許可もらってるし、グラウンドあなた方だけのもんちゃうでしょ?」

体育教官の皆さん「うるさい。今からトンボ掛けして直してこい。」

僕「え、今日雨…」

体育教官の皆さん「ええからやれ」

グラウンド走り回ってボコボコにしたのも怒られたけど、校内こんな感じで市街地サーキットみたいにしてタイムアタックしてたのが一番怒られました(笑)

という心温まるエピソードがありまして、土砂降りの雨の中カッパ着て、海みたいになってるグラウンドをトンボ掛けすることに。

僕「雨降ってたらトンボ掛けしたそばから足跡残るから意味ねぇやん…」

と思いつつトンボ掛けに勤しんでいると、我らが機械科の先生が通りかかりました。

先生「吉田君何やっとんや!?」

僕「いや、今しがた体育教官室でたっぷり絞られて禊中っす」

先生「そんなもん体罰じゃろうが!今すぐ止め!ワシが言うてくる!」

体育教官室に飛んでいく我らが機械科の先生。

体育教官室で体育教官達とバトルする我らが機械科の先生。

そのバトルの様子を

「いいぞ!もっとやれ!」

って思いながら見てました。

そんなこんなで色々事件がありながらもレース当日を迎えるのでした。

レース当日の様子は後編にて!