第11回全日本高等学校ゼロハンカー大会・後編

さとC

さとC

大会当日

OKAKO3号

先生が解体屋で拾ってきた車種不明のおそらくビッグスクーターのものと思われるサスペンション。もちろん前後で別車種です。

サスに貼ってあった500円の値札シールは恥ずかしいので会場で剥がしました。

何気に初参加なので、会場に来るのも初めてでした。

ここで初めて、他校のマシン達を見学。

岡山県を中心に工業系の高校が過去最多18校、40台エントリーしていました。

各校、作りが様々で独特のアイデアも満載なので勉強になります。

特に凄かったのが、この大会の主催でもあるおかやま山陽高校のマシン達。

自動車科もある高校なので、作り込みがガチです。

フレームも細いパイプを使っており、めちゃくちゃ軽そうです。

スペアのエンジンとか色々他のスペアパーツまで揃えており、台数も5台と、完全にワークス体制

見る人が見ればOKAKO3号との完成度の違いに気付くと思います。

付いてるパーツがいちいち高級でうらやましいです。

マジでサスに付いてた500円の値札シール、他校の人に見られる前に剥がしておいて良かったです。

ここで色んなマシンを見ていく中で気付いたことが一点。

あれ、みんなオイルクーラー付いてね???

気になったので、そこら辺の人に聞いてみることに。

ただ、県内の高校の人に聞くと、

「岡工そんなんも知らんのか、だっさ」

って思われるのも嫌なので、県外から来てる人に聞きました。

僕「あのー、すいません、みんなオイルクーラー付いてるっぽいんですけど、やっぱ無いとキツいっすか??」

「24分全開やからね!無いとタレるよ!ムリムリ!」

僕「マジっすか」

慌ててピットに戻って対策を練ります。

結果、急遽ホームセンターで買ってきたダクトを付けてエンジンに少しでも走行風を当てることに。

GT500のNSXみたいなカッコいいレーシーな見た目になりました。

予選

予選は決勝本コースの半分のレイアウトで3台ずつ出走して上位1台が決勝に進めるノックアウト方式。

決勝コースは一周約1分程度で予選コースは一周30秒程です。

OKAKO1号、2号、3号と出走し、3号のみ予選通過。他2台は予選敗退となりました。

予選通過に浮かれているのも束の間、トップ通過のおかやま山陽高校のマシンとは3秒も離れています。

えぇ!?30秒のコースで3秒離されるってことは1分のコースだと6秒離されるってことぉ???」(ちいかわボイス)

算数が苦手な僕でもヤバさに気付きました。

決勝

決勝には42台中10台が進出。

決勝は5番グリッドからのスタートになりました。

スタート直後、前走車が跳ねあげた水溜まりの泥を被り、ヘルメットのシールドが使い物にならなくなりましたが、捨てシールドも付いてないので、シールドを開けて走りました。

シールドが見えなくなっている間に後続車にパスされ6位に後退。

顔中に泥を浴びながら渾身のアタックをかけます。

泥パックでもしたんですか?ってくらい顔ドロドロになりました。

前に居れば顔に泥浴びなくて済む!ってモチベーションだけでペースを上げました。

トップはおかやま山陽高校、2位を走る車両もおかやま山陽高校の車両なので、チームオーダーで1位を逃がされると手も足も出ません。

ましてやコースも狭いです。ブロックされると抜くのは不可能です。

案の定、2位以下は団子状態、1位の車両はかなり離れてしまいました。

ですが、レースが進むにつれて、路面の状況が悪化します。

整地されたコースが次第に掘れて轍ができるようになりました。

イン側に深い轍、アウト側は掘れた土が溜まってグラベルみたいな状態になりました。

そうなると、車高が低い車両はアウト側は走れないので、イン側を走るしかありませんが、轍が深すぎる所は腹下がつっかえてペースが落ちます。

そんな感じでペースが落ちるトップ集団をよそに、車高の高いOKAKO3号はアウト側のグラベルみたいになったフカフカのところでもほぼペースを落とさずに走れることを発見しました。

これは使える!となりペースを上げ、徐々にポジションアップ。

最初はダセ~と思ってた車高の高さが有利に働いたのと同時に、

500円のサスペンションもお値段以上の働きをしてくれていました。

他のクルマがイン側の轍が深くてペースが落ちるコーナーで、そのコーナーでアウトから抜くというやり方でポジションを上げました。

トラブルでリタイアする車両も多い中、レース中盤を過ぎる頃には2位までポジションアップをして、トップのおかやま山陽高校の車両のすぐ後ろまで追い上げることに成功しました。

追い付いた!と思ったところで山陽高校の車両がピットイン。

その後すぐにOKAKO3号にもピットインの指示が入り、次の周でピットインすることになりました。

義務ピットを規定タイムで済ませ、スムーズにピットアウトすると、山陽高校の車両の前でピットアウトすることができました。

山陽高校の車両はトラブル対応でピットでかなり時間がかかってしまっていたようです。

そのまま最後までノントラブルで走りきったOKAKO3号は全車唯一24周を走り優勝することができました。

岡山工業として初めての優勝に貢献することができました。

当時の記事→岡工ブログ

レースを終えて

めちゃくちゃデカいトロフィーをもらいました。

学校に帰ってから全校生徒の前で表彰もしていただいたりしました。

部活とは縁遠い堕落した生活を送っていたので、まさか自分が他の部活の表彰式に混じって表彰していただけるとは夢にも思っていませんでした(笑)

低予算の無名チームながら強豪チームに勝つという漫画・カペタさながらの体験をさせていただきました。

で、これは元々課題研究だったので、一応研究成果の発表というのが授業でありまして、どうするか迷った結果、僕が動画を作って流すことにしました。(楽だし)

この時初めて動画編集というのをやりました。

これです↓

意外と先生からのウケも良く、あんなに怒られまくってたのになぜか課題研究の成績、トップで付けてくれていました(笑)

今までトップの成績なんて取ったことなかったのでこれもいい経験させていただきました。

最後に、僕の4輪デビューレース、このような素晴らしい形で終えることができたのも、

マシン製作に携わってくれたチームの皆、

僕をトンボ掛けの刑(笑)から守ってくれた先生方、

そして、エンジンの製作に協力してくれたIMC BIKEの伊藤さんのおかげだと思っています。

皆でイチから作ったマシンが最後まで壊れずに走ってくれたこと、オイルクーラーも無いエンジンが最後までベストパフォーマンスで吹けてくれたこと。全て皆のおかげでした。

レースは決して一人の力で勝つことができないものだということを学ぶことができ、とても貴重な体験ができました。

携わってくれた全ての方に感謝します。本当にありがとうございました。